『QUALICOAT』(アルミニウムの優良塗装品質に関する基準)を例に性能基準を見てみましょう
※ISOでは一般に制限値・基準値は示されていません。実際の塗装現場で適用するに当たり各業界の基準・指針がどのように定められているのかを参考にしていただくために掲載しております。実際に本基準にしたがった塗装を行なわれる場合には、予め最新の情報やご専門機関のご見解をご確認ください。
外観
指定準拠規格 | 試験規格の概要 | COTECによる補足 | 対象製品のご案内 |
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塗装は均一な色相、光沢で十分隠ぺいされていなければならない 屋外使用部材の場合:5mの距離から見る 屋内使用部材の場合:3mの距離から見る 無差別抽出のルールに従う |
隠ぺいに必要な膜厚は別途「隠ぺい力(率)試験」で求めることになります。 隠ぺい力(率)試験に当たってはISOに適合したISO隠ぺい力試験紙を使用してください。 また、照明の光源の種類によって色が変わって見えるメタメリズムの確認には多光源カラーボックス(カラーマッチングボックス)をご利用ください。 |
LENETA 色観察ブース |
光沢度
指定準拠規格 | 試験規格の概要 | COTECによる補足 | 対象製品のご案内 |
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ISO 2813 | 角度60° 光沢計を使用 測定できない場合は参照サンプルで目視比較しても良い 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
ISOが求める再現性に適合しない光沢計も多いので注意が必要です。校正証明書の添付は必須です。 |
鏡面光沢計 |
膜厚
指定準拠規格 | 試験規格の概要 | COTECによる補足 | 対象製品のご案内 |
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ISO 2360 | 有効面から少なくても5か所 各か所で3~5回読み取る 平均値が指定最小膜厚以上でかつ1点でも指定最小膜厚の80%以下でないこと 無差別抽出のルールに従う |
以下の機能を持った膜厚計が必要です。
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高性能電磁膜厚計 高性能電磁膜厚計 |
付着性(密着性)
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ISO 2409 | 切込みの間隔
結果は『0(欠け無し)』でなければならない |
付着試験のクロスカット法を用います。 ただし、クロスカット法は性能試験としては付着力と正しく比例関係の結果を得ることが難しいため、プルオフ法と併用するのが主流化してきています。 |
クロスカットガイド 全自動プルオフ試験機 |
硬さ(凹み硬さ・押込み硬さ)
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ISO 2815 | 膜厚により指定される値の80以上 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
ブッフホルツ硬度試験器により試験を行ないます。 |
凹み硬さ(押込み硬度) |
カッピングテスト(部分変形。旧名称はエリクセン試験)
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ISO 1520 | 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する 粉体塗装クラス2および3はカッピングテスト+粘着テープ強制はく離 粉体塗装クラス2および3はカッピングテストのみ 粉体塗装クラス1、2及び3:最低5mm 液状塗装:最低5mm ただし2成分系塗料:最低3mmで水性塗料:最低3mm 電着塗装:最低5mm 要求最低膜厚に近いもので実施する 割れや剥がれの兆候がないこと 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
カッピング試験は、手動で押込み深さを増す試験機と理想的な試験を実現する自動機とがあります。 |
カッピング試験 手軽な手動モデル |
曲げ試験(屈曲性試験)
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ISO 1519 | 粉体塗装クラス2および3は曲げ試験+粘着テープ強制はく離 粉体塗装クラス2および3は曲げ試験のみ 5mmのマンドレルを使用 ただし2成分系、水性塗料およびラッカーでは8mm 割れや剥がれの兆候がないこと 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
円筒形マンドレル |
耐衝撃性(インパクトテスト)
指定準拠規格 | 試験規格の概要 | COTECによる補足 | 対象製品のご案内 |
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ISO 6272 ASTM D2794 |
裏面に衝撃を加え、有効面(オモテ面)で評価を行なう クラス1粉体塗装:2.5Nm 2コートPVDF粉体塗装:1.5Nm クラス2および3粉体塗装:2.5Nmの衝撃+粘着テープ強制はく離 割れや剥がれの兆候がないこと 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
インパクトテスターには、直接試験片におもりが落下するダイレクトモデルと新たに規格に加わったインダイレクト(間接)モデルとがあります。現在ではインダイレクトモデルの方がより正確な評価ができると考えられています。 2.5Nmは1kgの重さで250mmの高さから、1.5Nmは1kgの重さで150mmの高さから落下させます。 |
インパクトテスター |
耐溶剤性(重合度)試験
指定準拠規格 | 試験規格の概要 | COTECによる補足 | 対象製品のご案内 |
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溶剤塗装:MEKもしくは塗料メーカー指定の溶剤 粉体塗装:キシレンもしくは塗料メーカー指定の溶剤 綿布に溶剤をたっぷり浸み込ませ30秒以内に30往復軽くこすり、30分後に評価する 少なくても8時間シフトごとに各色およびサプライヤーごとに試験する |
焼付け(炉の管理)
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焼付炉全長にわたって温度測定ができなくてはならない 1週間に1回の頻度 代表的な形材を用いて焼付温度曲線を形成しなければならない 結果は記録に残し、検査官に提示できるように分類してくことが望ましい |
規定を満足させるためには、メモリー機能のある移動式炉内温度計を製品といっしょに炉を通過させて測定することになります。 |
炉内移動式 |
参考補足検査機 超音波式粉体硬化前非接触膜厚計
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超音波技術の応用により硬化前の粉体塗料層の厚みを近接から測定し、硬化後の膜厚を推定表示します。 粉体の粒径条件や被塗物の形状により精度がかなり異なってきます。 |
超音波式 |