PSPCの90/10ルール : 「全膜厚測定点の90%は塗料スペックが求めるNDFT(公称乾燥膜厚)以上で、なおかつ残り10%の膜厚は0.9×NDFTを下回らないこと」を意味します。この90/10ルール対応機能を搭載した膜厚計も登場しています。
QUALICOATにおける膜厚測定はISOに基づき以下のような概略になります。
測定サンプルは無差別抽出でロット1〜10の場合は全数検査、11〜200の場合10、201〜300の場合15、301〜500の場合20を抽出します。
試験する各部材の有効面から少なくても5ヵ所、各ヵ所3〜5回の計測読み取りを行ないその平均値が測定値として記録されます。指定膜厚の80%以下の測定値がであってはならず、あった場合にはすべてが不合格とみなされます。
粗度は「30-75μmの間とする」と定められていますが、パラメーター(最大高さor平均?)の指示はありません。塗料スペックなどで確認する必要があります。具体的な粗さの評価方法は、ISO 8503-1/2(表面粗さの試験評価の「比較板との比較方法」)を用います。ISO比較板はRy5で測定した4段階の粗さの面があります。なお、ISO規格にはないRaで測定した比較見本板もあります。
@湿度85%以上の場合、A鋼材表面温度−露点のΔTが3℃未満の場合、ブラストを施すことはできません。乾湿球温度計を手で持って回転させるアナログ方式でも露点は求められますが、精度は0〜20℃で±2℃、20℃以上の場合で±6℃ですので、精度と記録保存性の観点からもデジタル式がふさわしいでしょう。
塩化ナトリウムは50mg/m²以下とすることと定められています。測定方法はISO 8502-9(測定器具による清浄度の試験評価−表面付着塩類)の「電気伝導率測定による表面付着塩類の評価法」を用いるよう定められています。
ただし、潮風を直接受けるような部位でなければ基準値を超えるケースは稀であったものの、研削材の汚染により処理面の塩分濃度が上昇したケースがあったそうです。回収再利用する研削材の塩分濃度を測定することも重要です。
ダストの検査は、粘着テープを処理面に一定の力で圧着し、付着した粉塵の大きさと量を判定することで行ないます。100μm以上のダストについてダスト量は“1”と定められています。
押込み硬さは、ISO 2815に規定されていますが、JIS化はされていません。具体的には決められた形状で一定時間塗膜を5Nの力で押し、その凹みの残り具合で、塗膜の押し込みに対する抵抗を測定します。
機械的性質では、屈曲された時の塗膜の割れやはく離を確認する曲げ試験、押込みよる部分変形を受けたときの割れやはく離を確認するカッピング試験、おもりの落下により変形したときの割れやはく離を確認する衝撃試験が規定されています。
それぞれISO/JISに規定されている試験ですが、QUALICOATには「少なくても8時間のワークシフトごとに1回、各色、各光沢、およびサプライヤーごとの試験片について試験しなければならない」と記されています。
QUALICOATでは「1週間に1回、形状に適用して焼付け温度曲線を作成しなければならない」と記されています。
測定ポイントは、「被処理物3ヶ所、空気温度1ヶ所」と記されています。熱変色材(温度表示ラベルなど)を製品に貼ることで製品温度を知ることも可能ですが、その場合は最高到達温度がわかるだけで、途中の経過やキープ時間は分かりません。やはり炉内を製品といっしょに流せるデータロガーにより計測し、PCソフトによってグラフ化・保存する方法が適切でしょう。
温度表示ラベルの例