測定目的とプローブの形の違い…プローブには測定目的に応じてさまざまな形のものがあります

(1) 雰囲気(炉内空気)温度専用
(2) 製品温度(物温)専用
(3) どちらにも使用可能
(4)赤外線輻射専用

(1) 雰囲気温度(炉内空気温度)専用タイプ

温感部は雰囲気中に露出せず、円筒の中にあります。そのため、右図のようにケーブル(素線)タイプと比較して穏やかな変化になって表現される傾向があります。

局部的な変化を含めて捉えたい場合にはケーブルタイプ、炉の全体の温度傾向を捉えたい場合には雰囲気温度専用タイプが適します。

なお、炉内風速が極端に低いような炉や炉内循環を行なっていない例えばクリーン炉のような場合には、雰囲気温度専用プローブを用いると風速がないため筒内に温度がこもってしまう(置換されない)ため、正しい温度が測定できない場合があります。

赤外線炉の場合、温感部が直接輻射を受けないため、輻射の影響を緩和して雰囲気温度を測定することができます。しかし、エネルギーの強い中~近赤外線や炉内風速が低い炉では、円筒部が輻射の作用で雰囲気温度以上に加熱されてしまい正確には測定できなくなります。
» 赤外線炉測定のコツと注意点


(2) 製品温度(物温)専用

洗濯ばさみのような形状で製品をはさんだり、磁力で固定するため、テープなどで貼り付ける面倒がありません。

製品温度(物温)専用プローブを空中に浮かせて炉内雰囲気温度を計ろうとしても正しくは計れません。あくまで製品温度(物温)専用です。

熱容量があるため、ごく薄い対象物の測定には不向きです。

また、赤外線炉の場合は対象製品と合わせて、プローブ自身が輻射を受けて加温される影響が加味されるため、正確に測定できない場合があります。

(3) どちらにも使用できるタイプ

耐熱テープやビスなどの何らかの方法で固定することが必要になります。

温感部を空中にぶら下げて使用すれば雰囲気(炉内空気)温度が測定でき、製品に密着させれば製品温度(物温)が測定できます。

製品温度を測定する場合には、製品に十分に密着させることが重要です。また走行中の揺れなどで温感部がはがれたり、浮いたりしないように十分に配慮する必要があります。

ケーブルタイプの場合、温感部を固定する力が弱いので耐熱テープを何枚か貼る必要があります。力が加わった場合に、温感部に直接力が及ばないように右図の下のように貼り方に工夫するもの効果的です。

(4) 赤外線輻射専用

赤外線は対象製品や塗膜に当たり、①反射、②吸収、③透過のいずれかとなり、②吸収されたものが熱に変わります。

赤外線の照射量が変化してるかどうか、発熱体の劣化が生じているかを測定するための専用のプローブがあります。

これは輻射量(強さ)を測定するためのもので、製品温度や雰囲気温度を測定するものではありません。

原理は一定の形状の黒体に赤外線を吸収させ、その温度の変化により照射量を検査します。

赤外線炉の専門的な管理を行なう場合を除いては、通常は決められた一定の大きさ、厚さ、色のテスト板を一定速度で炉内を通過させ、その温度変化で管理する方が一般的です。

一定方向からの輻射の強さを検査するもの
全方位からの強さを検査するもの