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JIS K5600-1-7 塗料一般試験方法 第1部:通則 第7節:膜厚の規定が、2014年に改定され(基となるISO 2808は2007年に改定された第4版)、校正・確認・調整が明確に定義されました。
『たどることができる校正標準で、測定機器を測定し、その精度が公称値の範囲内にあることを証明するための、管理され、文書化されたプロセス』と定義されてました。
「校正標準は測定結果の不確かさが膜厚計(測定器具)の公称精度より小さいもの」が要件として示されてました。最新の膜厚計の公称精度はたいへん向上しています。たとえ校正証明書が添付されていても、膜厚計より精度が劣るシムやフォイルで校正することはできないのでご注意ください。
初期校正は、「膜厚計の製造メーカーまたは資格のある試験所が行うこと」と指示されましたが、膜厚計の機器の中でも、ポジテクタ―のように電子機器の場合には、校正時に専用の装置を用いて特性調整を行いますので、製造メーカーでないと適切な校正・再校正はできません。定期的な特性調整を行わず累積させてしまうと故障の原因となりますのでご注意ください。
『参照標準を使用し、使用者が行う膜厚計(測定器具)精度の点検』と定義されました。お客様が日々の測定作業において実施しなければならない項目です。
参照標準/verification standard は、「上塗を施してある既知の膜厚の塗板または既知の厚さの金属板が用いられる 」と明記されています。プラスチック製のフォイルやシムではありませんので、ご注意ください。金属板の上の塗膜を測定する膜厚計の場合には、校正された塗板となります。
なお、磁気法(電磁誘導・磁気誘導・渦電流膜厚計など)の項には、「読取に先立って確認が必要」と記されていますので、ご使用を開始されるときには塗板を用いて精度の確認を実施されてください。
DeFelsko/デフェルスコでは、上記の規定に合った校正証明書付の Coated Metal Plates/塗板を用意しています。
商品コード | 対象モデル | 膜厚基準値(実測値は製品に記載) | 塗膜材質 /誤差 |
金属材質 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
プレート1 | プレート2 | プレート3 | プレート4 | ||||
KH-S1 | ポジテクター6000 F, FS, FRS, FN, FNS, FNRS, FXS, FNDS ポジテストF, FM |
0 | 75μm | 250μm | 1500μm | エポキシ /鉄素地 |
±0.43μm |
KH-S2 | ポジテクター6000 F0S, F45S, F90S, F90ES ポジテストDFT-F, -C |
0 | 75μm | 250μm | 1000μm | ||
KH-S3 | ポジテストG, GM ポジペン A, B, C |
0 | 15μm | 40μm | 100μm | ||
KH-S4 | ポジテクタ―6000 FXS | 0 | 75μm | 1000μm | 1900μm | ||
KH-A1 | ポジテクター6000 N, NS, NRS, FN, FNS, FNRS, FXS, FNDS | 0 | 75μm | 250μm | 1500μm | エポキシ /アルミ素地 |
|
KH-A2 | ポジテクター6000 N0S, N45S, N90S ポジテストDFT-C |
0 | 75μm | 250μm | 500μm | ||
KH-A3 | ポジテクタ―100B, 200, 200B | 75μm | 125μm | 250μm | 500μm |
<注記>
シム(フォイル)について:
旧JISである JIS K5600-1-7 1999版 では、塗板(旧JISでは塗装標準板と称していました)のほかに、フォイル(シム)を校正標準として用いることを認めていました。しかし、次のように記しています。
「校正用フォイルは、一般に適切なプラスチック材料で作られている。これらはキズが付きやすく、そのためしばしば交換しなければならない」
どうでしょうか? 校正用のフォイルは、自動的に1年間は有効だと思われていませんでしたか? 実は「しばしば交換しなければならない」ものだったのです。
『膜厚計(測定器具)の読取値を参照標準の厚さに一致させるため、膜厚既知の金属板の値に変更する行為』と定義されました。
ポジテクタ―では、まずほとんどのケースにおいて、実際に測定する対象品の素地(塗装前の状態)でゼロ点を合わせることで、所期の精度が得られると説明していますので、一般的にはこの調整は不要になります。ゼロ点(素地調整)のみを行ってください。
調整が必要な代表的ケースとしては、下地がブラスト加工などをした粗面である場合があります。実際に測定する対象物と同じ粗面の塗板が準備できればいいのですが、それは現実的ではないと思われます。そこで、この場合には下表の校正証明書付シム(フォイル)を使用するのが一般的です。
本シム(フォイル)は調整用です。確認/verification用としては用いることはJIS/ISOの規定に沿っていません。
商品コード | 膜厚基準値(実測値は製品に記載) | 色 | 誤差 |
---|---|---|---|
KH-CS1 | 25μm | オレンジ | ±2μm |
KH-CS2 | 50μm | 赤 | |
KH-CS3 | 75μm | 緑 | |
KH-CS5 | 125μm | 青 | |
KH-CS10 | 250μm | 茶 | |
KH-CS20 | 500μm | 黄 | |
KH-CS40 | 1000μm | 白 | |
KH-CS60 | 1500μm | 黒 | |
KH-CSS | 上記8枚セット | 上記 |
<付記>
<注記>でも記したように、「フォイルは、キズが付きやすく、そのためしばしば交換しなければならない」ものです。キズがついたり、折り目がついたものをそのまま使うことはおやめください。