低粘度の実験は90mPa・s※の塗工液で行いました。
粘度の定義は業界によって違うようですが、バーコーターが扱う塗工液は塗装業界~接着業界までを包含するので、100mPa・sを低粘度、100以上~10,000 mPa・sを中粘度、10,000mPa・s以上を高粘度として便宜上定義しました。ちなみにオリーブオイルが100mPa・s程度、トマトケチャップが1,000mPa・s程度 、はちみつが10,000 mPa・s程度です。
※:mPa・s:ミリパスカル秒。1mPa・s=1cp
10μm用のバーコーターでの比較実験
図はバーコーターの走行(移動)速度と平均膜厚の関係、走行(移動)速度と膜厚のばらつきの関係、そして、外観写真で構成されています。
試験全体に言えることですが、バーコーターの移動速度を100mm/秒といった極端な高速にすると、外観上はきれいになることがあります。溝に入った塗工液により膜が形成されているというより、丸棒で平らにしているというイメージに近くなります。この場合塗膜面には大きなうねりのようなものが生じやすく、極端に膜厚のバラツキが大きくなる傾向がありますので、高速域での塗工には特に注意が必要です。一見きれいに見えても再現性の管理が難しくなります。
ワイヤ(スパイラル)バーコーターと標準的なM型ワイヤレスバーコーターとの比較
ワイヤ(スパイラル)バーコーターは低粘度の塗工液に関しても得意ではないようです。低速域では速度のわずかな差により大きなバラツキが生じることをグラフを示しています。さらに走行速度をあまり早くすると外観に異常を生じやすくなります。
膜厚のバラツキはM型ワイヤレスバーコーターの方が優れます。低粘度塗工液をワイヤ(スパイラル)バーコーターで塗工されているケースでは、M型ワイヤレスバーコーターに替えることで清掃性が大きく向上し、バラツキも小さくなります。
ワイヤ(スパイラル)バーコーター
ワイヤレスバーコーター M型
より流動性の高い塗工液に合わせて開発したL型ワイヤレスバーコーターを加えて試験してみました
L型ワイヤレスバーコーターを使用すると、差は微妙ではありますがM型ワイヤレスバーコーターより外観は安定する方向にあります。M型ワイヤレスバーコーターよりさらに改善が求められる場合の有望な候補となりそうです。