高粘度塗工液へのワイヤレスバーコーターの適用実験例(2) 5μmとそれ以下の場合

高粘度用試験に用いたのは27,000mPa・sの接着剤です。
高粘度、中粘度、低粘度の定義は業界によって違うようですが、バーコーターが扱う塗工液は塗装業界~接着業界までを包含するので、100mPa・sを低粘度、100以上~10,000mPa・sを中粘度、10,000mPa・s以上を高粘度として便宜上定義しました。ちなみにオリーブオイルが100mPa・s程度、トマトケチャップが1,000mPa・s程度、はちみつが10,000mPa・s程度です。
※:mPa・s:ミリパスカル秒。1mPa・s=1cp

5μm用のバーコーターでの比較実験

図はバーコーターの走行(移動)速度と平均膜厚の関係、走行(移動)速度と膜厚のばらつきの関係、そして、外観写真で構成されています。外観は白色のLEDスポットライトを塗膜に当てて、スジ状の模様の有無を確認したものです。なお、本試験で用いたものは接着剤ですので、硬化がより緩やかでレベリングしやすい塗工液の場合には、スジの残り方はより穏やかになり、場合によっては消滅するかもしれません。
試験全体に言えることですが、バーコーターの移動速度を100mm/秒といった極端な高速にすると、外観上はきれいになることがあります。溝に入った塗工液により膜が形成されているというより、丸棒で平らにしているというイメージに近くなります。この場合塗膜面には大きなうねりのようなものが生じやすく、極端に膜厚のバラツキが大きくなる傾向がありますので、高速域での塗工には特に注意が必要です。一見きれいに見えても再現性の管理が難しくなります。

ワイヤ(スパイラル)バーコーターとより流動性の低い塗工液に合わせて開発したワイヤレスバーコーターH型との比較

粘度が高くて薄い塗膜の塗工はワイヤ(スパイラル)バーコーターが最も苦手とする条件の1つで、やはり著しいワイヤ跡が塗装面に残り、塗膜は膜厚が測定しにくい状態でした。 ワイヤレスバーコーターH型を利用すると、スジ状の跡は大幅に軽減されています。塗工液のレベリング性にもよりますが、ワイヤレスバーコーターの活用により問題の解決が期待できそうです。

ワイヤ(スパイラル)バーコーター


移動速度:2mm/秒時
移動速度:5mm/秒時

移動速度:10mm/秒時
移動速度:50mm/秒時

移動速度:100mm/秒時

ワイヤレスバーコーター H型


移動速度:2mm/秒時
移動速度:5mm/秒時

移動速度:10mm/秒時
移動速度:50mm/秒時

移動速度:100mm/秒時

極端な特性を追求したワイヤレスバーコーターV型を用いて3μmの塗工に挑戦

ワイヤ(スパイラル)バーコーターではあきらめざるを得ない条件の1つだと思います。そこで、極端な特性を追求したワイヤレスバーコーターV型を用いて挑戦してみました。塗工液のレベリング性にもよりますが、可能性のある結果が得られました。
ただし、高粘度の塗工液全般に言えることですが、塗工速度(バーコーターの移動速度)の管理(始点から終点までの一定した低速での速度制御)の管理はきわめて重要です。

ワイヤレスバーコーター V型


移動速度:2mm/秒時
移動速度:5mm/秒時

移動速度:10mm/秒時
移動速度:50mm/秒時

移動速度:100mm/秒時