スパイラルバーコーターの課題(目詰まり)を解決するために考案されたウェーブフォームドバーコーター
ワイヤーをロッドに固く巻きつけたスパイラルバーコーターと違い、中空のロッド自体に波型形状を持たせたウェーブフォームドバーコーターは目づまりを起こさないバーコーターとして注目されています。
この便利なウェーブフォームドバーコーターですが、通常のスパイラルバーコーターと同じ感覚で使用することができるのでしょうか? 塗料・インクとのなじみの違いから、特に薄い膜厚レンジにおいては特性に違いが出るようです。結論としては、薄膜の場合にはウェーブフォームドバーコーターは適さないケースがあります。ご採用になられる場合にはご試用の上決定されることをお勧めします。
一般的なスパイラルバーコーター |
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ウェーブフォームドバーコーター |
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低粘度の塗工材における特性の違い
スパイラルバーコーターもウェーブフォームドバーコーターも膜厚の薄い6μm用のものを使用しました。塗工液は低粘度の試料(95mPa・s)を用いました。
一般的なスパイラルバーコーター | ||
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低速移動(5mm/秒) | 中速移動(50mm/秒) | 高速移動(100mm/秒) |
平均膜厚:10.1μm 標準偏差:0.97 |
平均膜厚:8.5μm 標準偏差:2.27 |
平均膜厚:15.2μm 標準偏差:2.48 |
ウェーブフォームドバーコーター | ||
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低速移動(5mm/秒) | 中速移動(50mm/秒) | 高速移動(100mm/秒) |
平均膜厚:3.3μm 標準偏差:2.11 |
平均膜厚:10.6μm 標準偏差:3.24 |
平均膜厚:3.21μm 標準偏差:2.48 |
概してゆっくりバーコーターを移動させることが均一な塗膜を得るコツとなります。ウェーブフォームドバーコーターは極端に薄膜になり低速以外での塗工は困難です。ただし、一般的な塗工液は中粘度領域だろうと思いますのであくまで低粘度は参考までのデータとしてご覧ください。
中粘度の塗工材における特性の違い
スパイラルバーコーターもウェーブフォームドバーコーターも膜厚の薄い6μm用のものを使用しました。塗工液は中粘度の試料(3,220mPa・s)を用いました。
一般的なスパイラルバーコーター | ||
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低速移動(5mm/秒) | 中速移動(50mm/秒) | 高速移動(100mm/秒) |
平均膜厚:18.5μm 標準偏差:0.82 |
平均膜厚:19.7μm 標準偏差:1.21 |
平均膜厚:18.4μm 標準偏差:1.24 |
ウェーブフォームドバーコーター | ||
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低速移動(5mm/秒) | 中速移動(50mm/秒) | 高速移動(100mm/秒) |
平均膜厚:11.4μm 標準偏差:1.69 |
平均膜厚:11.2μm 標準偏差:4.37 |
平均膜厚:12.7μm 標準偏差:7.16 |
概してゆっくりバーコーターを移動させることが均一な塗膜を得るコツとなることは同じです。ウェーブフォームドバーコーターはスパイラルバーコーターほどには塗工材のなじみがよくないようです。そのためスジ状の跡が残りました。