ドクターブレードタイプのアプリケーターの特徴

使用したアプリケーター

先端ブレードがドクターナイフ形状をしたアプリケーターです。使用したものはこのブレードをマイクロメーターに連動して上下させることで、ギャップを可変調整することができる『ギャップ調整用マイクロメーター付フィルムアプリケーター』です。

低~中粘度液の塗工試験結果

使用したアプリケーター ギャップ調整用マイクロメーター付フィルムアプリケーター ギャップ高さ:50μmに調整
使用したチャート レネータ チェッカーチャート シールド(非浸透)タイプ
使用した自動コーター TQC AFA ガラステーブルモデル
使用した塗工液の粘度 低粘度 中粘度
移動速度 5mm/秒 50mm/秒 100mm/秒 5mm/秒 50mm/秒 100mm/秒
 
乾燥後膜厚 10~50μmで不均一 10~40μmで不均一 20~55μmで不均一 30~50μm 35~115μmで不均一 20~110μmで不均一

サラサラの低粘度の塗工にはまったく不適であるようです。中粘度の塗工の場合かろうじて移動速度を遅くすると塗膜が形成され始めますが、中速~高速域はまったくダメです。今回使用した中粘度の塗料は約3,000mP・sです。一般に中粘度は1,000mP・s~7,000mP・s 程度を言うようですので、中粘度の中でも比較的に粘度が高くなるほど塗工しやすくなるようです。ただし、速度は速くしすぎないことが重要です。

高粘度液の塗工試験結果

使用したアプリケーター ギャップ調整用マイクロメーター付フィルムアプリケーター ギャップ高さ:50μmに調整
使用したチャート レネータ チェッカーチャート シールド(非浸透)タイプ
使用した自動コーター TQC AFA ガラステーブルモデル
使用した塗工液の粘度 高粘度
移動速度 5mm/秒 50mm/秒 100mm/秒
 
乾燥後膜厚 23.3μm 40.0μm 44.6μm

移動速度5mm/秒の場合平均膜厚は23.3μmで標準偏差は3.0、50mm/秒の場合で平均膜厚40.0μmで標準偏差は4.6、100mm/秒の場合で平均膜厚は44.6μmで標準偏差は4.8でした。バーコーターやベーカーフィルムアプリケーターの場合は接液部の形状が丸く滑らかであるのに対して、ドクターブレードはたいへん急な角度になっています。そのため、粘度や速度の依存性はとても高くなっています。おそらく自動コーターと併用して使うことが前提になるのではないでしょうか。
あくまでインスタントな評価ですが、光源の映り込みを見ると、100mm/秒の走行速度だと少し速すぎる感じがします。

補足:使用した塗工液の粘度

使用した塗料の粘度は以下の通りです。
  • 低粘度の試料:95mP・s
  • 中粘度の試料:3,220mP・s
  • 23,000mP・s の接着剤です(はちみつは一般に10,000mP・s 程度と言われています)。