JISが警告する『同じフィルムアプリケーターを用いても操作者が異なる場合には著しく異なった膜厚の塗膜が得られるので絶対的な方法が要求される』はなぜ?
JISには上記のように注意を喚起しています。例えば同じスパイラルバーコーターを用いたとしても引く速度により大きな差が生じるのでしょうか?実際に検証してみました。
使用したアプリケーター | スパイラルバーコーター ウェット膜厚50μm用 ロッド直径10mm | |||||
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使用したチャート | レネータ チェッカーチャート シールド(非浸透)タイプ | |||||
使用した自動コーター | TQC AFA ガラステーブルモデル | |||||
使用した塗工液の粘度 | 低粘度 | 中粘度 | ||||
移動速度 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 |
乾燥後膜厚 | 24μm | 24μm | 17μm | 18μm | 22μm | 20μm |
- たしかに速度の影響が見られます。常に同じ速度でバーコーターを操作することが求められます。
また、粘度の影響も無視できません。試験が全体で長く時間を要する場合には、液の撹拌や粘度管理も重要になります。
バーコーターより再現性が高いと言われるベーカーフィルムアプリケーターで移動速度の影響を見てみましょう
使用したアプリケーター | ベーカーフィルムアプリケーター ギャップ60μm | |||||
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使用したチャート | レネータ チェッカーチャート シールド(非浸透)タイプ | |||||
使用した自動コーター | TQC AFA ガラステーブルモデル | |||||
使用した塗工液の粘度 | 低粘度 | 中粘度 | ||||
移動速度 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 |
乾燥後膜厚 | 13μm | 7μm | 4μm | 17μm | 17μm | 20μm |
- ベーカーフィルムアプリケーターは粘度が低いものに対しては適していないことがわかります。
低速域で安定した結果を示しています。低速で一定した速度で移動させることが重要です。
高粘度の試料に適すると言われるバードフィルムアプリケーターで同様の実験をしてみましょう
使用したアプリケーター | バードフィルムアプリケーター ギャップ60μm | |||||
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使用したチャート | レネータ チェッカーチャート シールド(非浸透)タイプ | |||||
使用した自動コーター | TQC AFA ガラステーブルモデル | |||||
使用した塗工液の粘度 | 低粘度 | 中粘度 | ||||
移動速度 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 | 5mm/秒 | 50mm/秒 | 100mm/秒 |
乾燥後膜厚 | 20μm | 8μm | 4μm | 10μm | 5μm | 7μm |
- アプリケーターの接液の角度が急なバードフィルムアプリケーターはやはり高粘度の試料に適するようです。
補足:使用した塗工液の粘度
- 使用した塗料の粘度は以下の通りです。
- 低粘度の試料:95mP・s
- 中粘度の試料:3,220mP・s