硬化指数を活用するための準備
まずペイントタイプ(塗料の仕様)を入力する必要があります。Ideal Finish Analysisでは少なくても3点の適切な硬化条件を入力する必要があります。そうすることで Ideal Finish Analysis は硬化に関する塗料の特性を把握することができます。またブロック剤を使用して一定温度以下では反応しないように設計されている塗料ではキュアの最低温度として忘れずに入力してください。
一般にはキュアウィンドウや塗料スペックの中から条件のなるべく異なる3点以上を選び入力します。例えば標準硬化条件140℃×20分と表記されている塗料であっても、キュアウィンドウは存在しますので120℃や160℃のときの必要硬化時間を入力します。
キュアの最大温度には、キュアウインドウの上限、あるいは顔料が変色を起こしたり光沢を維持できなくなる温度、あるいは管理幅が狭すぎて現実には採用できなくなる条件などを入力します。
- ◆何らかの理由で異なる3つの条件の入力が難しい場合は、Cure Index の精度は低くなりますが、以下の方法を採用します。2点目と3点目の温度をそれぞれごくわずかずつ上下に設定します。例えば、200℃×20分の1条件だけが分かっている場合、第1点を200.1℃×19分59秒に設定し、第3点を199.9℃で20分01秒と設定します。これで強引ではありますが、ペイントタイプを形成させてしまいます。
硬化指数とは
塗料の架橋度をそのまま示すものではありません。お客様が入力されたペイントタイプの条件から硬化に必要なエネルギーの過不足を推定するものです。これにより硬化不足やオーバーベークを注意しなければならないポイントや製品の部位における硬化状態のムラ、あるいは乾燥炉におけるエネルギーのムダなどを検証する重要な指標を得ることができます。
硬化指数はペイントタイプから得られる温度と硬化の関係の曲線を細かく分けそれぞれの硬化ポイントを元に計算されています。例えば1秒ごとに得られるそれぞれの測定値ごとに、それまでの硬化ポイントの総和に新たに加わった硬化ポイントを加えて硬化指数として表示します。
例えば、それまでの温度の影響を無視してご説明すると次のようになります。170℃×17分で硬化ポイントが100となる塗料の場合、170℃で1秒が経過すると、1/(17分×60秒)の硬化ポイントが加わります。
以上のことを式で表わすと以下のようになります。
は以下のどちらかの式で表わすことができます。
もしくは
上記の式を展開すると
あるいは、あらゆる硬化モデルを想定してTQCが提唱している(世界トップクラスの塗料メーカー等も同意見ですが)式は以下のようになります。
硬化指数は塗料の架橋度そのものを示すものではありません。お客様が入力したペイントタイプの仕様条件から硬化に必要なエネルギーの過不足を推定するものです。したがって、いったんは硬化状態(架橋度)との相関を確認することが望ましい姿です。硬化状態の「不足」ばかりでなく「過多」や「部位による差」に目が向けられ、「改善策と効果」の関係も明確になるため、現在、欧州を中心に硬化指数を硬化状態の最も重要な指標として規格化する方向に進んでいます。塗装業界が硬化指数を中心に硬化状態を管理・監視するようになると、品質管理のレベルは大きく前進すると期待されており、また事実その研究はすでに始まっています。経験値が上がることで、これまでの温度管理の精度が大きく進歩すると考えられます。