対象規格
JIS K5600-5-4(ISO/DIN 15184)
試験の目的
既知の硬さの鉛筆を塗膜に一定の条件で押し付けて塗膜硬度を測定する方法です。
準備するもの
(1) 装置
JISに「この方法は、手かき法で実施してもよいが、機器を用いることが望ましい」と記述があるように、手ではなく専用の機器を用いることが基本となります。※JIS K5400=旧JIS版では、鉛筆を手で持って引くことも示されていました。
- <試験機器の条件>
- ●本体は2つの車輪がついた金属製。
- ●試験が水平な状態で行えるように上部に水準器がついている。
- ●鉛筆の先が塗装面に対して750±10gの荷重がかかること。
※JIS K5400(旧JIS)版では、荷重は1kgと規定されていました。 - ●鉛筆の角度は45±1°となること。
(2) 鉛筆
① 鉛筆硬度(正式名称は鉛筆濃度)
軟→硬の順で次のようになります…6B 5B 4B 3B 2B B HB F H 2H 3H 4H 5H 6H
JISには製品、製造業者の例として、国内メーカーでは、Uni,MITSU-BISHIが紹介されています。
「比較試験には同一製造業者の鉛筆を使用することを推奨する」と表記されています。
メーカー間で硬さにバラツキがある可能性がありますので、同じブランド・メーカーのものを使用されることをお奨めします。
②鉛筆の芯の削り方
右図のようにしてください。
芯が円柱状になるように、木部だけ削り、芯を5~6mm露出させます。
研磨紙で先端を平らにします。このときに欠けが生じないように注意してください。
(3) 鉛筆けずり器
芯を尖らせるのではなく、木部のみ削るようにしてください。
(4) 研磨紙
芯を研磨紙に垂直に当ててこすり、芯の先端を平らにするのに用います。
手順
装置を作業者から0.5~1mm/sの速度で、少なくても7mmの距離を押します。肉眼で塗面を検査して、跡の種類を調べます。
跡(圧こん)の種類:塑性変形=元にもどらないくぼみが生じるが破壊はない。凝集破壊=塗膜材質が取れたひっかきキズ。
試験部位に少なくても3mm以上のキズ跡が生じるまで硬度スケールを上げて試験を繰り返します。
評価方法
キズ跡が生じなかったもっとも硬い鉛筆の硬度を鉛筆硬度と言います。