ガイダンス:規定に沿った膜厚計の統計機能の活用の仕方
規定の概要
以下の規定が定められています
- (1) ロットの塗膜厚平均値は、目標塗膜厚合計値の90%以上であること。
- (2) 測定値の最小値は、目標塗膜厚合計値の70%以上であること。
- (3) 測定値の分布の標準偏差は、目標塗膜厚合計値の20%を超えないこと。
ただし、標準偏差が20%を超えた場合、測定値の平均値が目標塗膜厚合計値より大きい場合は合格とする。
主要機種別該当機能の対応状況
ポジテクター 6000 |
キューニックス 8500 |
キューニックス 4500 |
TQC LD800 |
ポジテクター DFT |
|
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設計世代 | 第3世代 | 第3世代 | 第3世代 | 第2世代 | 第3世代 |
2点調整 | 〇 | 〇 | × | 〇 | × |
プローブの交換 | 〇音と色の変化 | 〇音のみ | × | 〇 | × |
上限値設定 | 〇(↑で表示) | 〇(↑で表示) | × | 〇(Maxで表示) | × |
下限値設定 | 〇(↓で表示) | 〇(↓で表示) | × | 〇(Minで表示) | × |
平均値 | 〇(Xで表示) | 〇(Xで表示) | × | 〇(Meanで表示) | △(最大10回の平均) |
標準偏差 | 〇(σで表示) | 〇(σで表示) | × | 〇 | × |
上下限アラーム機能 | 〇音と色の変化 | 〇音のみ | × | 〇 | × |
本規格への適用性 | 〇 | 〇 | × | △ | × |
※TQC-LD800
機能としては満たしていますが、基本設計が第2世代であるため、プローブ先端の耐摩耗性は劣ります。また、対象膜厚範囲を絞り込んだ2点調整やエッジ付近を避けた測定などが求められます。
膜厚計の統計表示画面と異常表示
ポジテクター6000
アドバンスグレードの場合
- 下限設定値より数値が下回った場合
表示は赤色になり低音のアラームが鳴る - 上限設定値より数値が上回った場合
表示は青色になり、高音アラームが鳴る - 上下限設定範囲内=正常値の場合
表示は黄緑色になり、通常測定音が鳴る
キューニックス8500の場合
- 下限設定値より数値が下回った場合
Vの表示と通常とは異なる音がします - 上限設定値より数値が上回った場合
Λの表示と通常とは異なる音がします
平均値の表示
ポジテクター6000
アドバンスグレードの場合
キューニックス8500の場合
最小値の表示
ポジテクター6000
アドバンスグレードの場合
キューニックス8500の場合
下限設定の手順
ポジテクター6000
アドバンスグレードの場合
下限値を下回ると赤色表示+低音のアラーム
『測定値の最小値は、目標塗膜厚合計値の70%以上であること』の規定に対して、70%の値で下限設定しておくと便利です。
キューニックス8500の場合
標準偏差
バラツキの大きさを表わすもので、同じ平均値でもバラツキの大きい場合とバラツキの小さい場合では品質・性能は大きく変わってきます。このため、本指針では「測定値の分布の標準偏差は、目標塗膜厚合計値の20%を超えないこと」と規定されています。
ポジテクター6000
アドバンスグレードの場合
キューニックス8500の場合
例えば超厚膜形エポキシ塗料では目標膜厚が300μmとされるようですが、この場合標準偏差は60μmを超えてはならないことになります。ただし、標準偏差が60μmを超えた場合でも平均値が300μmを超えていれば良いとされます。