TQC 船体表面粗さ計/ハルゲージ/Hull Roughness Gauge 船体表面粗さ管理がなぜ重要か?

準拠規格

英国BSRA(ビスラ)のHull Roughness Gauge の後継&進化モデルと正式に評価を受けた※ハルゲージ(船体表面粗さ計)
Rt(50)を12点計測しMHRを求め、最終的に全体平均船体粗さ(AHR)を決定します

※2012年のSMM(隔年で開催される海運業の主要な国際的フォーラム・展示会:Hamburger)においてBSRAの後継機としてオフィシャルに紹介を受け実演を行った
BMT社と研究機関の共同研究によって誕生した粗さ計の正統な後継機として承認され2014年にはNACE防錆部門アワードにノミネートされた
PPGより同社が実施した比較テスト結果からBSRAの粗さ計と同じ計測特性を持つことが確認され後継機としてそれまでのデータを引き継げるとの見解を得た

船体表面が燃費に及ぼす影響

左図は優れた船舶の基準と言われる高速航行速度を維持するのに必要な推進力・燃料と船体粗さの関係の代表的例を示しています。
横軸は船体表面の粗さを示し、縦軸は必要な推進力・燃料の増加(120µm時を0とする増加割合)を示しています。
新造船の基準と言われる船体表面粗さ120μmに対して、300μmになると約5%の抵抗=燃費の悪化が生じることになります。

IMOの第2回GHS研究会では2007年の世界の非軍事船舶の燃料消費は3億3300万tであり、5年間で8000万t増加したと発表しました。この数字をそのまま当てはめると2012年の非軍事年拍の燃料消費は4億tを超えていると推測されます。2012年のバンカー重油の平均価格は1t当たり700ドルを超えています(Bunkerworl Daily E-mail, 10, February 2012)。したがって、2012年の世界の船舶の燃料費は年間で2,800億ドルであると推定されます。このことからも、5%の燃費の変化が及ぼす燃料消費量と燃料費用さらに環境負荷がいかに大きいかがわかります。

BSRA(英国造船研究協会)の1950年のReport

BSRA(ビスラ)協会は1950年にLucy ashton号により船体表面の詳細な抵抗実験を行ないました。その実験により船体表面の状態が船のパフォーマンスに与える影響がきわめて大きいことが客観的に判明しました。その実験に際してBSRAが考案した船体表面粗さ計が今日のハルゲージの原型となりました。
船体表面粗さを管理することの重要性を認識したBSRA協会はその後そのための計測方法および計測機の開発に注力します。その結果生み出された測定原理は、船体の表面に測定部の車輪を接しさせ直線に動かし、表面の凹凸をトレースする針により粗さを測定し、そのデータを表示するユニットへ送るというものでした。BSRAはその後民営化され、BMT社(British Marine Technology )に改組されますが、その後も装置の改良が進められました。
そして、TQC はBMT社の技術協力を得て、さらにエレクトロニクスと情報管理技術を注入し、最新のハルゲージを誕生させました。

船体表面の粗さ管理の意義

英国ニューキャッスル大学の教授で、船舶のパフォーマンスと船体及びプロペラの粗さの影響に関する権威である、Dr. Robert L. Townsinの研究結果は、衝撃的とも言えるものでした。
47隻の船におけるのべ147回の航行に及ぶ調査を基に1980年に発表された “Speed, power and roughness: the economics of outer bottom maintenance” は、現在の船体表面粗さ管理のバイブル的存在となりました。
この論文が表面粗さ管理において提唱した主なポイントを以下にご紹介します。

(1) 測定の対象
損傷のない船体の塗膜の粗さの測定。
表面に局地的な傷があり、素地が変形しているような場所は測定するのを避ける。
(2) 測定の意義
塗装された船体表面の粗さがもたらす摩擦抗力を評価することができる。
新たに塗装した塗装面の品質を評価することができる。
再塗装する前と後の測定結果を比較することにより塗装の品質評価が行える。
(3) 測定の方法
測定者は出来る限り広範囲において、左舷と右舷、船底部、など水に浸かる船体表面の100箇所の測定をする。
測定はドライドックにおいて、移動クレーンなどを用い行われる。
損傷のない塗膜面を測定する際、一回(一箇所)の測定で測定部を動かす距離は腕の長さを超える程度で、すなわち1mを超えない程度が適切である。
測定部を動かす際には出来る限り流線に沿って水平に行う。
測定箇所ごとに平均船体粗さ(MHR)の値をμm表記で求める。そして、それぞれの値がどの場所の値かわかるようにする。
約100箇所のMHR値の平均値を出すことにより、船体全体の平均粗さ(AHR)の値を求める。
統計グラフなどを用い、再塗装をする前と後のAHRを比較すると良い。また左舷と右舷、船底部のAHR値を比較することを推奨する。
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