さび度と除錆度はどこが違う?

対象規格

JIS Z0313

さび度、清浄度、除錆(せい)度の関係

JIS Z0313は、「防錆防食を目的として鋼材に塗料等で被覆する前に、ブラスト処理により素地調整を行った鋼材表面について、その清浄度、結露の可能性、表面粗さを目視または測定機器によって試験および評価する方法について」規定しています。
清浄度の評価項目は、第4項の目視によるものと、第5項の測定器具によるものに分かれますが、その具体的内容は以下の通りです。
第4項の「目視による清浄度の評価」では、「a) さび度の評価」、「b) 除せい(錆)度の評価」が規定されています。
第5項の「測定器具による清浄度の試験評価」では、「5.1 表面付着塩類」、「5.2 表面付着湿分の測定」、「5.3 表面付着粉じんの測定」が規定されています。
さび度は鋼材表面をブラストなどで処理する前のミルスケールの付着程度またはさびの発生程度を示すものです。A~Dの4段階でさび度を示しますが、評価に当たってはISO8501-1の代表写真例と比較します。
清浄度は鋼材表面をブラストなどで処理した後の、(その上に塗る塗装などの)被膜の付着を阻害するミルスケールおよびさび、塩類、油分などの汚れの除去程度を示しますが、除錆度は清浄度の中で特にミルスケールおよびさびの除去程度に焦点を合わせて評価するものです。評価に際してはさび度と同様にISO8501-1の代表写真例とそれに加えて異種の研削材でSa3に仕上げた写真例であるISO 8501-1 Supplement(追補)の写真と比較します。

ISO 8501-1およびその追補Supplement は以下のページでご紹介しています。

※ 著作権の関係で全体の内容まではご紹介できませんが、どんな本であるかのイメージはお持ちいただけると思います。

» ISO 8501-1 The Rust Grade book (さび度ブック) 英語版です

さび度

JIS Z0313では、 4.目視による清浄度の評価 の項目の a) さび度の評価 で、ブラストによる素地調整を行なう前の鋼材表面のさび度について下表のように規定しています。詳細はJIS本文を参照ください。
なお、JISでは「評価に際しては ISO8501-1の代表写真例と比較する」と記されています。

さび度鋼材表面の状態
A大部分が固いミルスケールで覆われ、さびはあってもごくわずかである。
Bさびが発生し始めており、ミルスケールははく離し始めている。
C全面がさびに覆われ、ミルスケールはあっても容易にかき落とせる。
D全面がさびに覆われるとともに、鋼材素地面にかなりの孔食が認められる

除錆度

JIS Z0313では、 4.目視による清浄度の評価 の項目の b) 除せい度の評価 で、ブラスト処理を行なった鋼材表面の除せい度について下表のように規定しています。詳細はJIS本文を参照ください。
なお、JISでは「評価に際しては ISO8501-1およびISO8501-1 Supplement(追補)の代表写真例と比較する」と記されています。ISO8501-1 Supplementは異種の研削材でSa3に仕上げた写真の例です。

除せい度鋼材表面の状態
Sa1 拡大鏡なしで、表面には弱く付着したミルスケール、さび、塗膜、異物、目に見える油、グリースおよび泥土がない。
Sa2 拡大鏡なしで、表面にはほとんどのミルスケール、さび、塗膜、異物、目に見える油、グリースおよび泥土がない。残存する汚れのすべては固着している。
Sa2・1/2 拡大鏡なしで、表面には目に見えるミルスケール、さび、塗膜、異物、目に見える油、グリースおよび泥土がない。残存するすべての汚れは、その痕跡が斑点またはすじ状のわずかな染みだけとなって認められる程度である。
Sa3 拡大鏡なしで、表面には目に見えるミルスケール、さび、塗膜、異物、目に見える油、グリースおよび泥土がなく、均一な金属色を呈している。

<他の規格との対比>

ISO(JIS) SIS SSPC SPSS グレード
Sa1 Sa1 SP-7 スイープブラスト
Sa2 Sa2 SP-6 Sh1, Sd1 コマーシャルブラスト
Sa2・1/2 Sa2・1/2 SP-10 Sh2, Sd2 ニア―ホワイトメタル
Sa3 Sa3 SP-5 Sh3, Sd3 ホワイトメタル
  • SIS:スウェーデン規格(Swedish Standard)
      ※SIS 05 5900 と ISO 8501-1 は同じ内容です。
  • SSPC:米国Steel Structurres Painting Council
  • SPSS:日本造船研究協会「塗装前鋼材表面処理基準」
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