ブレスルパッチ法

対象規格

JIS Z0313, ISO 8502-6, ISO8502-9

項目名

測定器具による清浄度の試験評価 - 表面付着塩類

※ブレスルパッチ法はブレッセルパッチ法と表記されることもあるようです。

付着塩類の採取方法

当事者間の協定によって、(1) 局部的な面からの採取、か (2) 広範囲の面からの採取、のいずれかの方法で行います。

(1) 局部的測定用試料採取方法

ブラスト処理面にはったブレスルパッチ(ゴム製パッチ:右下図参照)の中に水を入れて、塩類を溶解し、その水溶液を試料とします。

1)準備するもの
1. ブレスルパッチ 2. 注射器 3. JISで規定する水
2)手順
1. ブラスト面にブレスルパッチを貼ります。
2. パッチに注射器の針を通し、注射器を使って中に水を入れます。
3. 注射器のシリンダーを往復させてパッチ内部の水を攪拌します。
4. 注射器でパッチ内の水を取り出します。これを試験試料とします。

付着塩類の分析方法

当事者間の協定で、簡易分析A法かB法、もしくは実験室での分析のいずれかで行なってください。 ただし、簡易分析を行なった場合、その精度に疑問がある場合は実験室での分析を行なってください。

(1) 簡易分析法

A法:検知管による現場での簡易分析方法:塩化物イオン検知管(塩化物イオン用水質検知管として販売)を使います。同一の試料に3本の検知管を使い平均値を測定値とします。

B法:滴定による現場での簡易分析方法:試薬を用います。試薬はフッ化ナトリウム及びフッ化水素を加えた溶剤としての水、指示薬としてのジフェニルカルバゾン及びブロモフェノールブルー、ならびに滴定用の硝酸水銀溶液です。詳細はJISを参照ください。

検知管による分析方法は、「簡易…」という表現にもあるように精度が劣ります。
このため、実際には次の(2)項で説明されている「電気伝導率」により現場でも測定することが一般化しています。

(2) 実験室での分析方法:電気伝導率測定による表面付着塩類の評価法

付着した塩化物や硫酸化合物などの水可溶性化合物の全体量を、水溶液の電気伝導率として評価します。個々の化合物を測定することはできませんが、水可溶性化合物のすべてが塩化ナトリウムであると仮定し、塩化ナトリウムの表面濃度に換算します。

A法:予め採取した水に後から電気伝導率計で測定します。
B法:処理表面に電磁石などで固着させた器具に水を入れ、その器具に備えた電気伝導率計で測定する方法です。

1)手順(ここではA法についてご説明します。B法はJIS本文をご参照ください)
用意するものは、(1)電気伝導率計、(2)電気伝導率計の電極が十分入るビーカー、(3)試料採取用水
試料採取に用いる水でまずブランクテストを行います。その電気伝導率(ν1)を記録します。採取した試料水溶液をビーカーに入れ電気伝導率(ν2)を記録します。
2)結果の表示
単位面積当たりの水可溶性塩化物の総質量PAは、試料採取対象面積をAとし、そこに存在する水可溶性塩化物の質量をmとすると、 PA=m/A・・・(1)
試料採取に用意した水量をVとし、Δν=ν2-ν1とすれば、m=c・V・Δν・・・(2) ※c:経験的定数で5kg・m-2・S-1
式(1)及び(2)から、PA=c・V・Δν/A・・・(3)
仮に、V=10m・、A=1,250mm2とすれば、PA=Δν・40・10-3(kg/m2)・・・(4)で表わされます。
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